2023年5月27日(土)に、名城大学ナゴヤドーム前キャンパスで外国語教育メディア学会(LET)中部支部第100回(春季)研究大会が開催されました。この日は他のイベントも多く開催されておりましたが、会員・非会員合わせて約60名のご参加をいただきました。

午前の部では坂本旬先生(法政大学)をお招きして、「異文化交流とデジタル・シティズンシップ」という演題でご講演をいただきました。「情報モラル教育」にとどまらないデジタル・シティズンシップ教育を展開することや、さまざまな学びを有機的に結びつけて豊かな学びを実現することの重要性についてお話しいただきました。デジタルやらICTやらというとつい「〇〇を使うとこんなことができる」「△△するには□□が便利」といった話に終始しがちですが、なぜICT活用をするのか、ICT活用の先には何があるのかという点を意識することの必要性について改めて考えさせられました。

午後は4社の賛助会員の皆様によるプレゼンテーションのあと、2室に分かれて研究発表とワークショップがありました。高橋美由紀先生(愛知教育大学)による先行研究の扱いについてのもので、これから論文を書いていこうとする皆さんにとても役立つものになったことでしょう。研究発表の部屋では、大学生のオンライン科目での英単語学習の様子を分析した天野修一先生(広島大学)の実践報告、芸術系の高校で専門知識と英語を関連させた学習に国際交流を絡めた取り組みをされている出尾美由紀先生(大阪府立港南造形高等学校)の実践報告、そしてフィリピンにルーツをもつexceptional learnerに焦点を当てた柴田里実先生(金城学院大学)の研究発表がありました。いずれの発表も、フロアとの活発な質疑応答が見られ、参加した皆さんにとって充実した学びの場になったと思います。

シンポジウムでは、木下正義先生(LET第10代会長)・柳善和先生(LET第12代会長・名古屋学院大学)・森田彰(LET現(第13代)会長・早稲田大学)の新旧会長3人が集結し、LETの歴史を振り返りつつ、今後のLETの役割や、ChatGPTに代表されるAI技術と言語教育との関係などについて議論が交わされました。科学技術を言語教育に積極的に取り入れてきたLETならではの特性を今後の言語教育研究の発展のために生かしていきたいものです。

大会終了後は、2年半ぶりとなる対面での懇親会を開き、講師の坂本先生やシンポジウムご登壇の新旧会長の皆さんとともに、参加者の皆さんが親交を深めました。お店のご好意で100回記念のケーキを出していただくと、その場もひときわ盛り上がりました。ご参加の皆さんの中では、会員・非会員の別なく、新たな「つながり」がたくさん生まれたようです。

次回は2023年12月16日、三重での開催です。ぜひご参加ください!